日本の医師のコミュニケーションは「自己流」
では、日本の医師たちは、適切なコミュニケーションを行うためのトレーニングを積んでいるのでしょうか?
コミュニケーションの「達人」とも言うべき医師に、米国のコロンビア大学内科准教授の中川俊一先生という方がいらっしゃいます。中川先生は、その著書「あなたのACPはなぜうまくいかないのか?」(メジカルビュー社)の中で、こんなことを述べています(「ACP」とは「Advanced Care Planning(アドバンスト・ケア・プランニング)」の略語で、前もって将来起き得る悪い状況に備えることを意味します)。
米国と日本で指導をしていてしみじみと感じるのは、コミュニケーションに関する教育が非常に遅れているということです。米国は日本よりはまだマシですが、それでも全然足りません。
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医療者として仕事をして患者や家族と話をするのであれば、相手に何か悪い知らせを伝えることを避けるのは、どの専門家を選んだとしても不可能です。それなのに、コミュニケーションの教育や指導に割かれている時間は驚くほど少ないか、ほとんどありません。医師は各自が自分の感覚で、見様見真似でやっており、ぶっちゃけていうと(もちろん上手な医療者もたくさんいますが)基本的に「医師は口の利き方を知らない」といっていいと思います。
これを見る限り、残念ながら日本のがん治療医の多くは、適切なコミュニケーションを行うためのトレーニングを積んでおらず、「自己流」で対応しているというのが現実でしょう。