「自由診療で保険が効かない」のはなぜか?

次に知っておくべきは、「自由診療で保険が効かない理由」です。

医療用医薬品で「保険が効かない」パターンは大きく3つに分かれます。

1つめは、日本人を対象とした治験で効果と安全性が確認されて、国からしっかり医療用医薬品としての承認を受けているものの、使用目的や期待される効果が「生活改善」の範囲で、医療保険の対象とするには不適切と考えられているため、保険が効かないものです。男性型脱毛症(AGA)や勃起不全(ED)の治療薬などが、典型的な例です。

これらの“生活改善”薬は医療用医薬品なので、医療機関でしか処方されませんが、あくまでも保険の効かない自由診療になります。

2つめは、ごく一部ではありますが、海外の治験で効果や安全性が科学的に確かめられて承認されているものの、日本では未承認のために保険が効かない、というケースです。似たようなパターンで、日本でも、他のがんや、同じがんでもステージが異なる患者さんでは、効果や安全性が治験で確かめられ、承認を受けて保険診療が認められているものの、あなたのがんや、あなたのステージでは効果や安全性が確認されていないため、保険が適用されず自由診療になってしまうケースもあります。

最後の、そして大半の「保険が効かない」理由は、その薬の効果や安全性が治験で科学的に実証されていないから、です。ウェブサイト上で、提供している治療法にはさも科学的根拠があるかのような記載をしている自由診療クリニックが多数ありますが、保険が効かないということは、科学的根拠が不十分なのです。先ほどのステーキのたとえで言えば、そもそもステーキ(牛肉)であるかどうかもわからない状態です。

そうした「海のものとも山のものとも言えない」治療を、高額な価格で患者に提供することは、医療倫理に反すると強く思います。本当に有望な治療法であれば、治験を行って(ということは、患者さんにとっての費用負担は原則なしで)、その効果と安全性を証明すれば良いわけですから。