怪しげな自由診療の見分け方
患者さんやご家族が、「怪しげな自由診療」をどう見分けるかのポイントですが、「身体に優しい」「最新の××治療」「最後まであきらめない××」「がんが消えた」などのような、魅力的な言葉使いの宣伝文句を見たら、即“怪しい”と思ってください。
それと、「これを使ったらがんが消えた/縮小した」というような症例を、Before(投与前)/After(投与後)の写真付きで載せていたら、完全に“怪しい”サインです。(*このような写真を出して宣伝するのは法令違反です)
また、先述したように、さも「科学的に効果が立証」されているかのような記載も目立ちます。どこどこで学会発表したとか、どこどこの論文にこんな形で投稿されているとか、どこどこの偉い先生も推薦しているとか、実際に投与してこのような効果が出たというような実績などが書いてあるケースなどです。
どれもうっかり騙されそうになりますが、「保険が効かない」、(ということは)「医療用医薬品としての承認を得られていない」、(ということは)「科学的に効果や安全性が立証されていない」が大原則、と心得てください。
この類の話をすると、「でも、効果がないと決まったわけではないですよね? 1%でも可能性があるのであれば、試す価値はあるのでは?」と反論したくなる、あるいは疑問を持つ方もいるでしょう。「効果がないことが科学的に証明されたわけではない」というのは、その通りです。
例えば、
「ブロッコリーから抽出された濃縮液を毎日飲み続けるブロッコリー療法を行うと、がんが消えます」
「このブロッコリー療法を3ヶ月続けたら、Aさんの大腸がんが消えました」
「だから、このブロッコリー療法はがんに効果があります」
という主張に対しても、同じことが言えます。
これだけでは「効果があるとは言えない」です。しかし、このブロッコリー療法が「効果がないと言い切る」ためには、ブロッコリー療法を行う群と、行わないプラセボ群で、「ランダム化比較試験(RCT)」(患者を無作為に<=くじ引きで>2つのグループに分け、一方のグループには新しい治療薬を、もう一方のグループには別の治療薬<もしくは偽薬>を投与して、結果を比べる試験)を行い、両群に統計的に有意な差がないことを示す必要があります。
でも、この治験をするためには、何十億円というコストがかかりますし、そんなことにそんな大金を投じるインセンティブのある人は誰もいないので、いつまで経っても「効果がないことの証明」はされません。
ここまで申し上げた話をすべて理解された上で、それでも、標準治療の手立ても残されていないので高額な自由診療を試してみたいと思う方は、せめて、元々の治療をしていた病院との関係が切れないようにしてください。というのも、自由診療クリニックで真っ当な緩和ケアを提供してもらえる期待値は、極めて低いからです。
痛みをはじめとした辛い症状を和らげる緩和ケアは、QOL(生活の質)を維持する上でも、生存期間の延長を期待する上でも、極めて重要な“保険の効く治療”なのです。