民間療法をどう考える?
高額な自由診療もそうですが、いわゆる「民間療法」も、がん患者さんやご家族にとっては気になるトピックです。その中でも特に食事療法は、がん患者さんのみならず、健康管理に気を配る一般の方にとってもかなり根強い人気があるようで、書店の医療/健康コーナーを覗いてみると、「**を食べるな」「**を食べるだけでみるみる××」といった書籍が、昔も今もよく並んでいます。私の母もこの類の本は好きなようで、実家に行くとよく見かけます。
それだけ需要があるということだと思いますが、問題なのは、本屋さんの書棚のラインアップは「玉石混交」で、「玉」というより「石」、しかも使えないというよりむしろ有害なのではないか、と思われる内容のものも多いことです。
食品やサプリの派手な宣伝文句には要注意
がん患者さんやご家族は、具体的にどのようなところに気をつければ良いでしょうか?
本屋さんの医療コーナーの書棚をパーっと眺めると、「がんに勝つレシピ」「ガンが消えていくスープ」「がんに勝つジュース」などのような、がんに関連する食事療法系の本が、目につきます。食事のやり方次第でがんが消えるのであれば、これほど素晴らしいことはありませんが、残念ながら、がんの再発や進行を防ぐことが立証された食品やサプリメントはありません。
もう一つ目につくのは、著者としては「医学博士」が当然多いのですが、がんに関わる書籍で、「この先生はがん治療に関する専門性がありそうだな」と思える著者はそれほど多くはない、ということです。ざっくりしたイメージで言うと、2〜3割程度でしょうか。
「医学博士が書いているから、信用できる」とは、思わない方が良いでしょう。
書籍や週刊誌については、「言論の自由」の観点からなのか、科学的に妥当とはとても言えないような内容のものでも堂々と置いてあり、むしろ派手に宣伝もするので、目立ちます。ある意味、ウェブよりも放置されており、今後もしばらくそうした状況が続くのでしょう。
少なくとも以下のケースに当てはまるものは、購入は避けた方が賢明だと思います。
・「がんが消える」「副作用がない」など、妙に魅力的なタイトルがついている
・著者の“権威”を前面に押し出しすぎている
・特定の食品・サプリだけを、ことさらに推している
医療用医薬品は、食品やサプリより厳格な臨床試験をして、確実に効果が見込めることが証明されて初めて承認され、処方薬として世の中に出てきます。でも、一般の人に対して、その効果どころか名前すら広告宣伝はできません。「薬事法」という法律の中で、禁じられているからです。
その一方で、効果について科学的根拠があると言い難くても、食品やサプリは、書籍・雑誌・新聞などの紙媒体だけでなく、テレビやネット上でも派手に広告宣伝がされています。このような、極めてアンバランスな状況にあることを理解した上で、食品やサプリを捉えていただけたらと思います。
とはいえ、気になる食品やサプリがある方も多いと思います。自分のQOL(生活の質)を下げない範囲で、無理せず試せるものがあれば、「ダメもと」でちょっとずつ試してみる、というくらいのスタンスが良いのではないかと思います。
詳しい情報を知りたい方は、民間療法をはじめとする相補(補完)・代替療法と、どのように向き合い、利用したら良いのかどうかを考えるために作られた情報サイトがありますので、こちらをぜひ覗いてみてください。食品やサプリだけでなく、鍼治療、ホメオパシー、アーユルヴェーダ、ヨガ、気功などなど、ありとあらゆる代替療法について、エビデンス(の有無)を示しながら解説している、貴重な情報サイトです。
厚生労働省eJIM(イージム:「統合医療」情報発信サイト)