サルコペニアの診断基準

サルコペニアとは、加齢に伴って筋肉量が減弱することです。確かに一般的には、筋肉量が多いほど強い筋力を発揮します。しかし実際には、筋肉量が少なくても筋力や身体機能を維持できる人がたくさんいます。なぜなら、それらを支えているのは、筋肉量だけでなく、筋肉の質や神経の働きも影響しているからです。

若いうちは、筋肉量と筋力の間により強い関係性がみられます。しかし、加齢とともに、必ずしも筋肉量が多くなくても、強い筋力を発揮できるというケースが増えます。筋力の低下が、筋萎縮によって起こるケースもあれば、神経機能の低下によって起こるケースもあり、人によって様々なのです。

『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』(著:青井渉/中央公論新社)

そもそも、筋肉量が多くなくても、筋力が維持され、身体を動かす能力が十分にあれば、虚弱とはいえませんし、要介護状態になるリスクは低いでしょう。学会内でもそのような問題意識があり、2010年以降、ヨーロッパ、アジアの学術団体では、筋肉量だけでなく、筋力、身体機能を基にしたサルコペニアの診断基準を策定してきました。

現在、日本では2019年に策定された、アジア人のサルコペニア診断基準を用いています。筋肉量、握力、歩行速度などが一定以上の基準を満たしていれば問題ありません。しかし、基準を満たさなければサルコペニアと診断されます(3)。

<『筋肉はすごい-健康長寿を支えるマイオカイン』より>