年を取ってできなくなったこと
残間 中園さんは結婚しようと思ったことはないんですか?
中園 誰もプロポーズしてくれないので。
残間 それは嘘でしょう。
中園 ホントに。私はずっと結婚願望が強くて、小学校を卒業する時の寄せ書きにクラスメイト達が「宇宙飛行士になりたい」とか「野球選手になりたい」とか書く中、「玉の輿に乗りたい」と書いたんですよ(笑)。うちは貧しかったのできっとお金さえあれば幸せになれると妄信していたのでしょう。『やまとなでしこ』にはそういう女の人が出てくるんですけど。
残間 小学校6年生で「玉の輿に乗る」という言葉を知っていたというのが凄いわ。
中園 どこで覚えたのか。しかし真逆の人生を歩んでいます。
残間 子育てをしていた頃のことは記憶が飛んでしまっているほど忙しかったってさっき話していらしたけれど、全部自分でやっていたのですか?
中園 毎日お弁当を作ったり、買い物に行って、夕飯を作って食べさせて、お風呂に入れて。母親になった以上はあたりまえのことなんですけど、それまでぐうたら過ごしていた私にとっては大革命でしたね。
残間 大石さんはお料理も上手だし、意外と言っては失礼だけど家庭的なのよね。
大石 でも今はできないです。昔は凝った料理も作っていたし、お裁縫なんかも得意だったのですが、今はもうできない。年を取ってきちゃって台本を書くことはできるけど家事と両立することはできません。だからお手伝いさんを頼んで家事をしていただき、ただ仕事だけしています。
残間 お料理をする気になれないとかいうのはご主人を見送ったことの疲れもあったのかもしれませんね。
大石 やっぱり食べてくれる人がいなかったら、自分だけのために手の込んだ料理を作る気にはなれないんですよね。自分だけだったら卵かけご飯でいいやと思ってしまって。
残間 じゃあ、手料理は夫に対する愛情表現だったんですね?
大石 そういう重たい話ではなくて、食べてくれるのは友達だって仕事仲間だっていいんですよ。実際、家に人を呼んで料理を振る舞うこともありますし。人を自宅に招くのは好きではなかったのに、一人ぼっちになっちゃったから寂しくて、今は人が家に来てくれるのが嬉しい。大河の時のスタッフや役者が未だにしょっちゅう来てくれて、我が家のワインセラーにある頂き物の高級ワインがどんどん減っていきます。(笑)