本当に助けが必要な人の声を潰してしまうこと
けれども、「孤独は美しい」「孤独の価値を知るべきだ」「他人に依存して生きることは恥ずかしい」「人生最後はひとりなのだから孤独から逃げてはいけない」などといわれると、本当に誰かに頼らなければならないときに声を上げられなくなってしまいます。
孤独を楽しむことができる人があたかも優れた人であって、誰かに頼る人は劣った人であるかのようなイメージが社会的に定着してしまうことには危うさを感じてしまいます。
日本に特有の、根強く存在する、「他人に迷惑をかけてはならない」という不文律と融合して、孤独の価値を謳う精神論が、本当に助けが必要な人の声を潰してしまうことはしばしばあるのではないでしょうか。
誰かに助けを求めるより、ひっそりとひとりで死んでしまったほうがいいと、取り返しのつかない選択をする人がもしいたとしたら。
孤独の美を訴えることの功罪はもっと議論されるべきなのではないかと感じます。
※本稿は『「さみしさ」に負けないための脳科学』(アスコム)の一部を再編集したものです。
『「さみしさ」に負けないための脳科学』(著:中野信子/アスコム)
「そばにいるのに、わかりあえない」「ひとりでいるのがつらい」誰もが抱える「孤独感」の正体を脳科学で解き明かす!
集団をつくり、社会生活を営むわたしたち人類のなかで、さみしい・孤独だと一度たりとも感じたことがない人は、おそらくいないのではないでしょうか。
集団をつくる生物は、孤立すればより危険が増すため、さみしさを感じる機能をデフォルトで備えているはずだからです。
さみしさは人類が生き延びるための本能であり、心の弱さではありません。





