ひとりでいるときなどに感じやすい《孤独感》。脳科学者・中野信子さんによれば、孤独感は「他者と心が通じていない」と感じることで生じるものだと言います。コロナ禍が明け、多くの人が孤独感から解放されるはずでしたが、実際には今「そばにいるのに孤独」「わかりあえない」という、新たな感情を抱えているようで…。書籍『「さみしさ」に負けないための脳科学』をもとに解説します。
「さみしいのは、よくないことだ」という思い込みが苦しみを強める
この記事は、人がさみしいという感情に苦しめられてしまう理由について、脳科学的な分析を試みつつ、社会的要因を含めて考察していきます。
そもそもさみしさは誰にでも生じる感情であり、それを感じることは、別に恥ずかしいことでもなく、みじめなことでもありません。
たしかに、さみしさは健康上のリスクを高めてしまうという研究が知られています。
けれども、それをネガティブに捉えてしまうことは、より苦しみを強めてしまうことになります。
さみしくて苦しいときに、「なぜ苦しいのか、なぜむなしいのか」とよく考えてみると、その背景には、人間の本能としての機能があるだけでなく、自分自身がつくり出したネガティブな思い込みが潜んでいたり、他人による刷り込みがあったりします。
ひとりになるとさみしくなるのは、生存本能によるところがあります。しかし現代は、集団でしか生きられないような過酷な環境ではなくなってきています。