あの世行きの予行演習ができた
そもそも僕は、6年前に心筋梗塞を起こしたとき、死んでいてもおかしくなかったのです。
何しろ心筋梗塞で入院していたとき、僕の前に、あの世へのお迎えが来ましたからね。
心筋梗塞の手術でICU(集中治療室)に入ることになったとき、検査室の大きなテレビモニターにお地蔵さんが映っているのが見えました。
「鎌倉に六地蔵というのがあるけど、これは五地蔵だな」とか、ぼんやり考えていました。
そのうち、モニターから五体のお地蔵さんが、端から一体ずつ順番に抜け出てきました。それを眺めているうちに、「ああ、お迎えが来たんだ」と思いました。
退院してから、お坊さんに聞いたら、地蔵菩薩はあの世への道案内をする仏だと教えてもらいました。
やっぱりお迎えだったんです。あのままお地蔵さんに着いていったら、本当に死んでしまったのかもしれません。
麻酔薬の影響で、少々せん妄(意識障害)状態が生じていたのかもしれませんが、この体験のおかげで僕はあの世行きの予行演習ができたと思っています。
※本稿は、『病気と折り合う芸がいる』(エクスナレッジ)の一部を再編集したものです。
『病気と折り合う芸がいる』(著:養老孟司、中川恵一/エクスナレッジ)
「大事なのは自分の都合。自分にとって居心地のいい場所を探そう」。
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