休むことで育つ筋肉の「超回復」を活用

無理なく続けられ、効率的に筋肉量を増やすには、自分の体重を利用して行う「自重トレーニング」がおすすめだそう。

「器具を使わず、体に無理な力をかけないので、ケガの心配が少ないです。大切なのは、ひとつの動作をゆっくり行うこと。筋肉が収縮して静脈が圧迫されると血流が制限され、筋肉の内部が酸欠状態になります。すると、成長ホルモンの分泌が促され、筋肉が成長するのです。ただし、現状の筋肉の能力より大きな負荷でないと効果はありません。回数は少なくていいので、『きつい!』と感じるまで負荷をかけましょう」

同じ部位のトレーニングは、週2回程度が効果的だとか。

「筋トレなどの運動をすると、刺激を受けて筋線維が傷つき、その後、48~72時間かけて修復します。この時に、筋線維が以前よりも強く、太く修復される。これが、『超回復』と呼ばれる筋肉の特性。十分な休憩をとったほうが、効率よく筋肉を増やせるのです」

超回復には休息に加え、栄養を十分に摂ることも必要になります。

「筋肉の材料となるタンパク質は、意識してたっぷり摂るといいでしょう。また炭水化物(糖質)は、体を動かすエネルギー源となるため、不足すると、筋肉のタンパク質を分解してエネルギーをつくることになり、筋トレをしているのに筋肉量が減ってしまうことも。加えて、ビタミンやミネラルは、エネルギーが円滑に使用できるように環境を整えてくれます。食事やサプリメントできちんと補給しましょう」

筋肉量が増えると、日常の動作がスムーズになるだけでなく、基礎代謝も上がり、脂肪燃焼や血行の改善も期待できます。

「そのほか、筋肉を刺激することで、骨の生成が促され骨が強化されるという効果も。筋トレをすると脳の神経伝達物質である『BDNF』が分泌され、それによって記憶に深く関わる『海馬』で神経細胞が増えることが、近年の研究で明らかになっています」

次ページから、初心者でもすぐに始められる筋トレと、筋肉づくりに欠かせない栄養素を紹介します。

無理なく、効率よく、筋肉を増やすには10分程度のトレーニングを週2回がベスト
●筋肉量はこうして増える!「超回復」能力