イラスト:おおの麻里
「人生100年時代」に突入した現代、人生後半の健康維持が課題です。自由に動ける体でいるためには筋肉が大事。今から鍛えておきましょう(構成=渡部真里代 取材・文=鈴木裕子 イラスト=おおの麻里)

将来、要介護となるか否かは50代が分かれ道に

いつまでも健康で自立した生活を送るために、大きな鍵を握るのが筋肉です。しかし、「年齢とともに筋肉の量が減少する」と指摘するのは、トレーナーの比嘉一雄さん。

「筋肉は、『筋線維』という線維状の細長い細胞からできています。けれど、加齢により成長ホルモンの分泌が減少すると、筋線維の1本1本が細くなるうえに、数も徐々に減少。筋肉量は30歳をピークに年1%ずつ減り続け、50歳からは年2%減に加速。80歳の時点でピーク時の約半分の量になると言われているのです」(比嘉さん。以下同)

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最近、耳にすることが多くなった「サルコペニア」という言葉は、加齢によって筋肉量が低下した状態を指します。そのまま放っておくと、歩く、立ち上がるなどの動作がスムーズにできなくなる「ロコモティブシンドローム」や、心身ともに虚弱状態になる「フレイル」に陥る恐れも。「しかし、ご安心を」と比嘉さん。

「筋線維の本数は増やせませんが、太くすることは何歳になっても可能です。筋トレをしている96歳の人の筋肉量がアップしたという研究報告もあるほど。年齢にかかわらず効果は期待できますが、筋肉量の減少が加速する50代から始めたほうが、効率よく増やすことができるでしょう」