ペット用マットを介して交流が生まれた(筆者撮影)

感謝を直接伝え合える場に

この日は、胸を打たれる場面にも出合った。

「まだきれいだから、誰かに使ってもらえたらと思って」と、ペット用のマットとキャリーバッグを手にして現れたのは、高田謙吉さん。(仮名・70代)

聞けば、愛犬が1年前に亡くなったという。そこへ、前出の中井さんが近づき、「うち、チワワを2匹と猫を3匹飼っているんです。このマット、いいですね」と手に取った。

「どうぞ、使ってください」と高田さん。

「わんちゃん、亡くなったんですか……。大事に使いますね」

「ありがとう。喜んでもらえて嬉しいです」

短い会話だが、その場にやわらかな空気が広がった。《ありがとう》を直接伝え合える――。それが、顔の見える物々交換市の醍醐味だ。自然と「大切に使おう」という気持ちも芽生える。