「脳疲労」を引き起こす真犯人は?
では、乳酸が犯人ではないのだとしたら、一体何が私たちを疲れさせているのでしょうか。
最新の研究で今、最も注目されているのが「疲労因子FF(Fatigue Factor)」と呼ばれるものです。これは特定の一つの物質ではなく、疲労に関連するさまざまな働きを持つタンパク質の総称です。
例えば、体を激しく使ったり、強いストレスを感じたりすると、筋肉細胞や神経細胞が過剰に活動し、その過程で「活性酸素」という物質が発生します。この活性酸素は非常に毒性が強く、細胞を傷つけてしまうことで知られています。
この活性酸素で傷ついた細胞を修復しようと、私たちの体は、免疫細胞からある種のタンパク質を放出します。この細胞修復のために発生したタンパク質こそが、疲労因子FFの正体です。
そして、この疲労因子FFは、血液に乗って脳へと運ばれます。脳に到着すると疲労因子FFは「疲労シグナル」を送り、脳はこのシグナルを受け取ることによって「疲れた」と認識することがわかっています。最近の研究で、この疲労シグナルを感知する場所は、前頭葉の一部である眼窩(がんか)前頭野であることも明らかになっています。
つまり、体がヘトヘトになったときも、心がクタクタになったときも、私たちは最終的に疲労シグナルを過度に受け取った前頭葉の悲鳴として、その感覚を認識しているわけです。これこそが、あらゆる疲れの根本にある「脳疲労」のメカニズムです。
※本稿は、『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(三笠書房)の一部を再編集したものです。
『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』(著:奥村歩/三笠書房)
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