これまで10万人の脳を診断してきた脳神経外科医・奥村歩先生は、近年の診察を通して「30代~50代のビジネスパーソンの脳があまりにも疲れ切ってしまっている」ことを強く実感しているそうです。「しっかり休んだはずなのに疲れが残っている」「なぜか頭が働かず、仕事に集中できない」といったことがあれば、それは脳が疲れているのかもしれません。そこで今回は、奥村先生が脳疲労を解消するノウハウや知識をまとめた著書『10万人の脳を診てきた脳神経外科医が教える 脳を休めて整える習慣』から、一部を抜粋してお届けします。
30~50代が、極度の脳疲労に陥っている
日本のビジネスパーソンの脳は、ほとんどが過労に陥っています。
□すぐやることが苦手
□人から話しかけられたとき、パッと反応できない
□書類を読んでも、内容がスラスラ頭に入ってこない
□疲れが取れなくて頭が働かない
□イライラすることが増えた
□三日坊主で、何事も続けられない
これらは近年、メモリークリニックである私の診療所を受診される方から多く寄せられる悩みです。
メモリークリニックとは、いわば「脳機能の問題について専門的に扱う病院外来」のこと。私は20年以上、このメモリークリニックで診療を続けています。
近年、診察をしている中で気づいたことがあります。
それは、患者さんの年齢層や悩みが、劇的に変わってきていることです。
2000年代前半、受診されるのは認知症の高齢者がほとんどでした。ところが、この十数年で、メモリークリニックを受診される患者さんの年齢が明らかに若年化しているのです。現在では、30~50代の働き盛りの方が、全体の受診者の半分を占めるようになってきました。
そして、そのほとんどが「仕事の能率が以前よりも低下していること」を心配して来院されます。
そこで当院は、そのような悩みを抱える患者さんの脳を精密検査してみることにしました。
すると、多くの方が、前頭葉の機能が著しく低下していることがわかったのです。
前頭葉は、まさに脳の司令塔。後述しますが、私たちが「疲れたな」と認識するための「疲労シグナル」を受け取る重要な中枢です。
つまり、日々の過度な情報処理やストレスによって「疲労シグナル」を大量に受け取りすぎた結果、前頭葉の機能が低下してしまっていたのです。