父の体調の変化への対応と戸惑い

2025年夏の誕生日、お気に入りの店でケーキを食べて満面の笑みを浮かべていた父。しかし、秋の深まりと共に次第に元気のない日が増えているように見えた。季節の変わり目に体調を崩すことは老若男女問わずよくあることだ。高齢だから自然な衰えなのかもしれないと、さほど気に留めていなかった。

父は月曜と木曜の2回、老人ホームに隣接したデイサービスに行っている。居室に戻る時間を見計らって、私は父の居室に行く。デイサービスから戻ると報告書が届く。入浴や食事量、午後何をして過ごしたかが記載されているのを見るのは楽しい。子育てをしていた時を思い出す。幼稚園の連絡帳に書かれた先生のメモを読むのが楽しみだったのと似た感覚だ。

午後麻雀をしたと書いてあると、デイサービスで雀卓を囲む父の様子が目に浮かぶ。年相応に弱ってきているように見えるけれど、父は父なりの充実した時間を過ごしているのだと思うことができる。

デイサービスから戻った父は、ベッドに腰かけてテレビを見ていたが、どういうわけか体が45度位まで傾いてしまった。驚いた私は脇を抱えるようにして父の体を支えて、まっすぐな方向に起こした。

「パパ、倒れそうになっているよ。どこか痛い?」

「いや、どこも痛くない」

呂律が回っていることに安堵した。しかし、私の母も弟も脳内出血で40代で亡くなっていて、倒れた時に目の焦点が合わなかったショックな場面が蘇る。とりあえずベッドに寝てもらい、異常がないかどうどうかを確かめたほうがいいだろう。

私はベッドの横に立ち、仰向けになった父の顔を覗き込むようにして言った。

「私の目を見て」