お稽古場にて。月組バージョン(写真提供:越乃さん 以下すべて)
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第117回は「マックスパパの特等席2」です。

前回「『この方たちには、やっぱりかなわない』一言で稽古場の空気を変える<初演メンバー>の存在感」はこちら

さっきまで、普通に会話をしていたはずなのに。
笑っていたはずなのに。

音が鳴る、その一瞬のうちに
表情が変わり、空気が変わります。

あ、今、入った。

男役のスイッチが入る瞬間は、音よりも早く、一瞬です。
それは何かを「足す」というより、余計なものが一気に削ぎ落とされるような感覚に近い気がします。
ついさっきまであった日常が、ほんの一呼吸で舞台の時間に切り替わるのです。

同じ楽曲、同じ台詞なのに、男役という存在の輪郭が、ここまで変わるものかと毎回驚かされます。
そんな瞬間を何度も目の当たりにしていると、思わず心の中で呟いてしまいます。
「すごいな…」と。