日々の食事は……

朝、起きて小用の後がすっかり長くなってしまった。トイレットを出ると廊下の隅で体操をする。ラジオ体操のようなものに加えて脚腰に少し強い屈伸運動を加えたりしている。心は現状維持、いつまで今のままでいられるか、やっぱり少しずつ日に日に弱っていくのだろう。

朝ご飯はほとんど決まったメニュー。買い物は大抵の品はまとめて届けてもらっているが、その注文をもとに肉、魚、菓子など今日明日にほしい物を探す。半分は買い忘れる。昼飯は簡易食、お湯をかければそれでよいものなど、生のきゅうり、キャベツ、なければトマト・ジュースを飲んだりする。

『90歳、男のひとり暮らし』(著:阿刀田高/新潮社)

――夕食はなんにしようか――

これが買い物のときのささやかな思案である。

豚汁、焼飯、焼肉、焼魚、これらは下手くそながら可能の範囲だ。そして缶詰め。ツナ、鰯、鯖、鮭、これは高い。あ、忘れてはいけない。鯨の大和煮、たくさん買い置きがある。私の世代にとってはセンチメンタル・ヴァリュー。少年のころは本当においしかった。今日このごろ、これがメインとなる夕食もよくある。