農村が未来を切り拓く

21世紀に入り、さらにグローバル化が進む。環境破壊や自然災害が頻発し、被害が甚大化している。経済破綻や格差が顕在化し、社会不安が増大している。パンデミックやウクライナ問題は、原材料の多くを輸入に頼る日本の暮らしを揺るがせる。

食料安全保障は喫緊の課題である。日本の2022年の食料自給率はカロリーベースで38%。材木も、ありあまる森林が存在しながら60%を輸入に頼る。暮らしの根本要素である衣食住を、海外に頼らざるを得ない状況である。近い将来、世界では人口爆発による食料危機が心配される。現在、輸入している食料も他国へ流れ、日本に回ってこない可能性がある。実際、すでに小麦粉や飼料などは、巨大なマーケットを持つ大国に買い負けし、日本では品薄状況が続く。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

日本の農村は衰退の一途だ。農業者は、毎年平均6万人近く減り、15年前に比べ半分になっている。農業者の平均年齢は68歳。この状況を打破しなければ、日本の農村、および農業は崩壊する。その時、食料をどこから調達するのか。

日本の国土は、イタリアと同様に森林が多くを占める。国土全体の70%が中山間地域で農地全体の40%がこの中山間地域にある。起伏が多く、したがって一区画の農地面積が狭い。大規模に工業的な農業をする上で不利な地域である。そのために生産量が確保できず、新市場の開拓も難しい。農業者は十分に稼ぐことができず、離農して都市部へ移住する。親も、子どもに農業を継がせようとは言わなくなった。「農業は儲からず、しんどいだけ」というイメージを子どもに植え付けたのは、戦後の高度成長期当時に生産年齢世代であった大人たちである。特に、大規模化できなかった中山間地域で過疎化が進む。