2016年の結婚記念日に、松永さんが贈ったアルバム。「いつか第二回結婚式 またやろうね」とあるように、莉子ちゃんが大人になったらまた式を挙げよう、と話していたという。思い出深いアルバムだけに、松永さんは真菜さんの棺に入れるか迷いつつ、手元に残した

あのとき、2人を絶対に幸せにしようと誓った

こういう話をすると、「松永さんは強いですね」とよく言われます。でも実際の僕は、新しい服1枚買うのにも「どっちがいいかな?」と真菜にいちいち意見を聞くような優柔不断なタイプでした。

真菜は僕と違って自分からはほとんど喋らず、いつもニコニコしながら相手の話を聞いているような人。でも、まわりの人の幸せを一番に考えるところがありました。結婚前の僕は、どちらかと言えば、他人のことまで考える余裕のある人間ではなかったけれど、思いやり溢れる真菜と出会って、「自分もこういう人になりたいな」と尊敬するようになったのです。

真菜は沖縄で生まれ育ち、出会った当時も沖縄に住んでいました。僕の母が沖縄の出身なので、親戚の法事で集まったときに、従姉妹が真菜を紹介してくれたんです。一目惚れでした。初めて会った日に、6時間近くも僕が1人で喋っている間、ずっと「うん、うん」って話を聞いてくれて。おつきあいが始まってからは東京と沖縄の遠距離だったので、毎日仕事の昼休みや夜に電話をして、互いに何度か行き来もして、結婚を決めました。

交際を申し込んだとき、実は2回フラれています。なぜ断ったのか、結婚してからその理由をたずねたところ、お姉さんを白血病で亡くしているので、東京に住んでいる僕とつきあうことで、家族から離れて暮らすことが考えられなかった、と言っていました。

結婚後は、主婦としても母としても一生懸命でした。真菜と出会う前の僕はタバコも吸うし、お酒も飲むし、腎臓の数値も悪くて。それを「私が治してあげる」と食事に気を遣ってくれたおかげで、体調もすっかり良くなりました。僕も真菜の頼みなら、ときっぱりタバコをやめました。