近年、さまざまな企業や団体で<不祥事>が発覚する事案が相次いでいます。しかし「その陰では、真面目に業務に取り組んでいた人が不正や不法行為の“犯人”として糾弾されるケースが少なくない」と指摘するのは、プリンシプル・コンサルティング・グループ代表取締役でコンプライアンス問題のプロである秋山進さんです。そこで今回は、秋山さんの著書『企業不祥事の真相 「普通の人」を悪者に仕立てる歪んだ構造』より一部引用、再編集してお届けします。
DeNAの医療・健康情報サイト「WELQ」の誤情報問題
DeNAの誤情報問題とは、同社が運営していた医療・健康系キュレーションサイト「WELQ」において、誤情報や他サイトからの盗用に近い低品質記事が多数公開され、2016年に大炎上した事件である。批判の高まりを受け、同年11月にWELQは全記事を非公開化、12月にはWELQを含む全10サイトの閉鎖を発表し、社長(当時)が謝罪会見を行った。
PV最優先で事業特性を軽くみたツケ
当時、キュレーションサイトはIT企業にとって短期間でPV(ページビュー)を稼ぎ、広告収入などで収益化する手法として注目されていたが、専門性と正確性が不可欠な医療分野にまで同じモデルを無批判に適用したことが、大きな問題となった。
DeNAは、ゲームやSNS領域で急成長を遂げたIT企業であり、2014年からキュレーションメディア事業の強化に乗り出した。同年10月、住まい・インテリア情報を扱う「iemo」、翌2015年に旅行系「Find Travel」をそれぞれ買収し、両社を創業したC氏を執行役員に迎えた。
C氏はサイバーエージェント退社後に複数の事業を立ち上げ売却してきたシリアルアントレプレナーであり、ウェブマーケティングや事業開発に強みを持っていたが、医療法や薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)といったヘルスケア分野特有の規制や専門知識は有していなかった。