当時の組織的背景
当時、DeNA社内ではゲームに次ぐ新たな収益の柱としてキュレーション事業に期待が寄せられ、経営陣は「短期間で多ジャンルのサイトを立ち上げ、PVを急拡大させる」ことを重視していた。これを受け、C氏が統括するチームは、ファッションや暮らし分野だけでなく、医療・健康分野にも参入した。
しかしこの領域は医療法や薬機法による厳しい規制があり、誤情報が利用者の健康や生命に直結するリスクを伴う。通常であれば専門家の監修や法規制遵守の体制を整えるべきところ、DeNAのキュレーション事業では、「まず記事数を増やしてSEO(検索エンジン最適化)を強化し、検索上位を狙う」というITビジネス主導の方法論が優先されていた。
こうした組織的背景のもと、医療・健康分野への参入に際しても他領域と同様に大量の外部ライターを起用し、専門家によるチェック体制を整えないまま記事を量産した。その結果、医学的根拠が不明確な内容や、他サイトの文章をほぼそのまま流用したリライト記事が横行した。
リライト担当者の多くは専門知識を持たず、インターネット上の断片的情報をつぎはぎするケースも目立ち、根拠のない健康法や誇張表現が氾濫した。WELQ運営部門はPVの伸びを最優先し、内容の精査は後回しにされていたのである。
