難関はタッチパネルのフォロー?

店長から言われた仕事は次の通り。(1)「いらっしゃいませ!」 「ありがとうございます!」を大きな声で言う。(2)来店者をテーブルへアテンド(3)食後のトレイを片付けるサポート(4)タッチパネルのサポート(5)ゴミ箱内のビニール袋の交換

このチェーンはセルフサービスなので、食後のトレイはお客さんが自分で片付けることになっている。それをあえて従業員が行うことによって、店のイメージが上がるのを狙っているそうだ。

『60歳からのハローワーク』(著:神舘和典/飛鳥新社)

オーダーは基本的にタッチパネル。操作が複雑なので、高齢者は使いこなせない。サポートしないと、その後ろに長蛇の列ができてしまう。

ほとんどの仕事は問題なくできると思ったが、タッチパネルのサポートは不安だった。自分自身がふだん利用していない。ファストフード店を訪れて、タッチパネルと有人のカウンターがある場合は、迷わずにカウンターでオーダーしている。タッチパネルの複雑化は著しく、もたもたしてしまい、後ろに並ぶ若い客にいらいらされると自分が傷つくからだ。「ジジイ、早くしろよ」という声が聞こえてきそうで焦ってしまい、操作を間違える。その結果、次の人に順番を譲ったり、そこで食事をするのをあきらめたり。

そんな自分が、果たしてお客さんをサポートできるのか。これはチャレンジだと思った。

フロアはあっという間に満席になった。お客さんの回転はいい。新客がどんどん訪れ、どんどん食べていく。

ファストフードの仕事は、山小屋の歩荷やゴミ収集と比べたら軽作業と言っていい。体力的にはまったく問題ない。うまくできていると思うと自信がわき、それがエンジンになり、いくらでも動ける。気づくと、フロアはほぼ1人で受け持つ状況になっていた。

心配していたタッチパネルのサポートも問題なくできた。自分が客の場合は、面倒なことは避けたい。しかし、今回は店舗側の人間だ。仕事だ。だから、タッチパネルを本気で理解し操作を行う。自分が客のときとは集中度が違う。しかも年配者に替わって操作してさしあげると、ものすごく感謝される。そのお客さんが店を出るときには、挨拶に来てくれる。

「先ほどはありがとうございました。また来ますね」

笑顔で帰っていく。うれしい。この地域には品のいいお年寄りが多い。

それでも、問題は起きた。