「演劇性」へのあこがれ

―― 高田さんは中学卒業後にロシアの名門、ボリショイ・バレエ・アカデミーに留学し、そこからローザンヌ国際バレエコンクールでプロ研修賞を受賞して、英国ロイヤル・バレエ団に入団されています。ロシアと英国の違いは、どのようなところにありますか。 

高田:ロシアは古典バレエの継承という点で世界のトップレベルです。ただ、私自身はボリショイで勉強を重ねるうちに、もっと成長したいという気持ちが強くなりました。その気持ちの中心にあったのが「演劇性」へのあこがれでした。 

私は3歳でバレエを始めて、小学生の時からコンクールに出場したりしていましたが、当時から将来はプロのバレエダンサーになる、という目標を持っていました。バレエを上手に踊ること以上に、何かを踊る時、その役がどういう気持ちか、周囲にどんな人たちがいて、どのようにその役と関連しているのかと、いろいろ想像を広げていくことが、子どもの時から好きだったんですね。 

―― 今年の1月30日~2月1日に東京で催されたガラ公演『Zenith of Ballet ―至高の舞―』では、これもまた英国ロイヤルの十八番であるネオクラシック「マノン」の第1幕パ・ド・ドゥと、前衛的なコンテンポラリーの「ボーダーランズ」を踊られました。バレエ団の本拠、ロンドンのロイヤルオペラハウスでは『白鳥の湖』『眠れる森の美女』『くるみ割り人形』『ロミオとジュリエット』『真夏の夜の夢』『不思議の国のアリス』など、古典から新作まで、実に幅広い役柄を踊っておられます。 

高田:次から次へと、新しい挑戦をいただくので、無我夢中という感じなのですが(笑)。ロシアバレエも深い魅力がありますが、ロイヤルで演劇性を重視したストーリーバレエを踊ることが、私の夢でしたので、今の環境には本当に感謝しています。 

物語性のあるバレエを踊る時は、そのキャラクターの幼少期だったり、育った環境だったりを想像して、解釈のレイヤーを重ねていくんです。そうすると、一つひとつの「パ」(バレエの動き方、ステップ)が持つ意味が腑に落ちて、舞台に立った時も、自然に音楽に反応していけるんですね。 

―― 現代音楽を使った前衛作品など、バレエの物語性を排した作品でも、役の解釈はされるのでしょうか。 

高田:アブストラクト(抽象的)な作品であっても、振り付けから意味を感じ取って、表現していくことはできるので、そこはよく考えていますね。リハーサルの時に、振付家の言葉からインスピレーションを得ることもありますし、一緒に踊るパートナーの解釈から、「そうか!」と思うこともあります。パートナーとは、別に言葉で語り合うわけではないのですが、二人で踊っているうちに、見えてくる世界があるというか。