同じ思いで、翌年出版したのが、ゴフスタインの『作家』(谷川俊太郎・訳)です。初めてこの本を見た時に、私が作りたかったものは、まさにこれだ!と思いました。
ストーリーの単純さ、絵の雰囲気、文字の選び方や配置など、すべてが「本は美しいもの」だと、真っ直ぐ感じさせてくれた作品だったのです。
「作家は ソファに座って考えをあたためている」から始まり、「やがて 紙に 言葉をおき、」と続いて、最後は「自分の本が いつか 人々の心に種子となって 蒔かれることを願っている。」で終わります。
大阪の朝日新聞社の編集局長だった男性が気に入って、自分の部下が転勤する時に、プレゼントしていたそうです。成人の日の社説で、絵本について書いてくださったこともありました。
絵本に、大人と子どもを隔てる垣根はありません。
※本稿は、『今だからわかること 84歳になって』(末盛千枝子:著/KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
『今だからわかること 84歳になって』(著:末盛千枝子/KADOKAWA)
年を重ねると物事への理解が深くなって、これまでの経験が「そういうことだったのか」と思えて楽になるのよ――。
上皇后美智子様の長年の親友で、彫刻家・舟越保武の長女。舟越桂、直木の姉。名編集者として活躍するいっぽう、私生活は荒波にもまれた。84歳の今、岩手山を望む家に一人で暮らし、自然のリズムに合わせて穏やかに呼吸する。





