九州・四国を除く全国で……
さらに、分布拡大の先には市街地への出没がある。2025年は前年に比べて静かであった近畿地方のクマが、8月頃から奈良市周辺など、今まで出現しなかった場所で目撃や出没が増加した。これは、一時は絶滅が心配された紀伊半島の個体群が回復してきたことを示していると考えられる。
なお、紀伊半島は一種のブラックボックスで、クマが全域でいったいどこに、何頭生息しているかすら、よくわからない。さらに、紀伊半島は温暖な地域であり、南部には照葉樹林が広がり、中心部には大台ヶ原のような原生林がある。他の地域とは異なった照葉樹林でクマがどのような生活をしているのかも、詳しくはわかっていない。
2025年のクマの出没に関して東北地方が目立っているが、出没の件数や事故の件数の桁は異なるものの、日本各地で個体群の分布拡大や個体数増加に伴う圧力の高まりが起きている。こうした現象は、九州・四国を除く全国で起きていると言っていい。
※本稿は、『クマは都心に現れるのか?』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
『クマは都心に現れるのか?』(著:小池伸介/扶桑社)
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