うつ伏せ防御姿勢をとって助かった事例も

この方法を採る上で、背にはリュックを背負い、頭部は帽子やヘルメットなどである程度は防御されていると、その効果が増す。もちろん、首をかばっている手、尻、足などをクマに噛みつかれるリスクはある。だが、重症化や失血死という最悪の事態を防ぐためには、うつ伏せで、両手で首を守る姿勢をとるしかない。

不意の遭遇で驚いてしまっただけのクマの場合、ある程度、人間を攻撃すればしばらくして離れていってしまう。街中に出てきたクマに、うつ伏せ防御姿勢をとって助かった事例も実際、増えてきている(中永2025※)。

救いなのは、人間を食べ物と認識し、執着し、追跡し、隙あらば襲って食べようとするクマは、幸いほとんどいないと考えられることだ。そうしたクマに不幸にも遭遇してしまう確率は、今のところまだ低いだろう。

※中永士師明 編(2025)クマ外傷 クマージェンシー・メディシン.新興医学出版社.

※本稿は、『クマは都心に現れるのか?』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
東京はすでにクマに囲まれている?ツキノワグマの専門家「首都圏の人口密集地ではすでにシカやイノシシが出てきている。都市部だからといって何の対策もしなければ…」
この40年で拡大してきたクマの分布域。伊豆半島、茨城県、津軽、能登…ツキノワグマの専門家「こうした現象は、九州・四国を除く全国で起きていると言っていい」
ツキノワグマに大怪我を負わされた群馬県の男性。襲われた現場では、近年明らかな変化が起きていて…「遠目に見たことは何回もある。だけど実際に接触したのは初めて」

クマは都心に現れるのか?』(著:小池伸介/扶桑社)

クマはもう人間を恐れてはいない!?

なぜ2025年は異常にクマが出没したのか? 2026年はどうなるのか?

感情論に流されずに自然との共生を考える1冊。