「生かせばいい」というだけの処方や政策

もちろん、薬だけではありません。これにさまざまな食事制限が加わります。

脂っこいものはダメ、塩辛いものもダメ、甘いのもダメ、お酒は控えめに、焼き鳥で日本酒を飲んで〆にラーメンなんて論外です。

『死ぬのも楽しみ 「いい人生だった」と最期に思うために必要なこと 』(著:和田秀樹/廣済堂出版)

挙げ句に、コロナ禍の頃には外食や旅行の自由も規制されました。

こちらは感染予防のためですが、高齢者ほど死亡率が高く後遺症も残りやすいなどと脅かされましたから、都会でも地方でも高齢者は近所の散歩すらできず、自宅に閉じこもって好物も食べられず、テレビを見ながらぼんやりと過ごすしかありませんでした。もちろん、テレビもコロナ感染の不安ばかりを煽り立てました。

こんな不自由を強いられながら、我慢強い日本人は耐えてきたし、その結果、足腰が衰えて要介護となった人、気持ちが落ち込んでうつ状態になった老人も増えたことでしょう。

もちろん、ここでも国や医療関係者は言うでしょう。

「日本は、世界有数の長寿国のままだ」
「おかげでコロナの死者は少なかった」
「薬の服用が、結果として成人病の予防につながっている」

こういう表向きの言い訳はもう相手にしませんが、今回はひとつだけ指摘しておきます。

「生かせばいい」というだけの処方や政策は、QOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を踏みにじっていないのか、ということです。

「とにかく死なせないことだ」という方針は、自由に生きたいという私たちの根源的な意思とは相反するものでしかないということです。