(写真提供:Photo AC)
高齢になると、迫りくる死を意識することも多くなります。しかし、長年高齢者医療の現場に携わってきた精神科医・和田秀樹先生は、「死を怖がるより、今を生きることに専心すれば、あなたのこれからの人生は確実に充実します」と語ります。そこで今回は、和田先生の著書『死ぬのも楽しみ 「いい人生だった」と最期に思うために必要なこと』から一部を抜粋し、高齢期を幸せに過ごすためのヒントをご紹介します。

長生きを前提とした老後計画を立ててはいけない

「やることがもう少し片づいたら」とか、「数値が正常になったら」、「世の中が落ち着いたら」といった考え方は、自分がまだまだ生きていくこと、長生きすることを前提にしています。

ところが、長生きを前提にしてしまうと、今度はふたつの条件が加わってきます。言うまでもなく健康であり続けること、そしてお金です。

健康を維持するためには、とりあえず医者の指示に従うしかありません。健診で数値に異常が見つかればすぐに再検査を受けます。ところが、検査設備の整った大きな病院ほど、診療科はいくつにも分かれています。

細かく分かれた診療科を次々に受診しているうちに、それぞれの専門医から数値を正常に戻す薬を処方されます。

その結果、私がいつも非難している薬の多剤・多重服用で、高齢者の身体も精神もボロボロになっていきます。

多くの医者は、自分が診察できる狭い専門領域でしか患者と向き合いませんから、その領域内の数値を正常にすれば治療したことになるのでしょうが、そもそも正常な数値とされるものに根拠はありません。それぞれの領域で寄ってたかって薬攻めにされる患者の健康のことなど考えていないのです。