死ねば、お金は使えなくなる

それは、「これで死ぬまで安心して暮らせる」と思えるようになったときです。または、「死んでも誰にも迷惑はかけないし、子どもたちにも少しは財産を残せるだろう」と安心できるようになったときです。

でも、その頃は贅沢をする気力も体力も残っていません。倹約が身についてしまえば、そもそも贅沢したいという気持ちもなくなっているはずです。長生きはできるかもしれませんが、自分がやりたいことはすべてあきらめて死ぬしかないのです。

それに「死ぬまで安心して暮らせるお金」はどうしても多めに見積もります。

いつ死ぬかなんて誰にもわからないし、予測してなかった出費がかさむかもしれませんから、多めに見積もってしまうのです。すると、ますますお金が遣えなくなってしまいます。意外な額の貯金を残して死んでいく高齢者が多いのです。

死ねば、お金は遣えません。

寝たきりになっても同じで、自分の好きなことややりたいことにお金を遣えなくなります。だとすれば、お金を遣えるのは自分で自由に動ける間だけ。つまり、「いま」です。

死んだあとのことまで心配すればキリがありません。親がたっぷりの遺産を残して、そのおかげでいままでやってこれた人なんて、めったにいないはずです。

たとえ、あなたが何も残さなかった親だとしても、子どもをちゃんと育ててきたのですから、死んでから恨まれたりすることもないでしょう。

下手に遺産を残すほうが子どもたちの相続争いを招いてしまいますから、自分のお金ぐらい、生きている間に自分で遣い切ったほうがいいのです。

※本稿は、『死ぬのも楽しみ 「いい人生だった」と最期に思うために必要なこと』(廣済堂出版)の一部を再編集したものです。

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死ぬのも楽しみ 「いい人生だった」と最期に思うために必要なこと 』(著:和田秀樹/廣済堂出版)

「まだ死にたくない」と思えば死はつらいだけ。

死を怖がるより、今を生きることに専心すれば、あなたのこれからの人生は確実に充実します。