感情の老化を止めるいちばんの方法が「移動」

では、感情を刺激するいちばん簡単な方法は何だと思いますか?

ありきたりの毎日、変化のない暮らしから抜け出すことで、誰でもすぐにできるのが移動になります。簡単に言えば外出です。

『死ぬのも楽しみ 「いい人生だった」と最期に思うために必要なこと 』(著:和田秀樹/廣済堂出版)

出かけるまでは「億劫だ」とか「疲れるだけだ」とためらったとしても、とにかく自分の家を出て外に出かけるだけで感情は刺激されます。

べつに、長い旅行や遠くに出かけることではありません。

「たまには外で食べるか」と町に出て、久しぶりのレストランや和食の店で食事するだけでもいいし、お酒が好きな人なら居酒屋やバーで軽く飲んでみるのもいいでしょう。

たったその程度のことでも、「やっぱり美味しいな」とか「気持ちが伸び伸びしたな」と思えばうれしくなります。

もちろん、1泊でも2泊でも自宅を離れて旅に出るのもいいでしょう。車でも新幹線や飛行機でも、移動するだけで解放感が生まれます。

70歳を過ぎれば、オフシーズンの平日でも拘束される仕事も約束もないのですから、車中で風景を眺めているだけで自由を実感できます。懐かしい友人を訪ねてみるのもいいし、若い頃に好きだった町を久しぶりに訪ねてみるのもいいでしょう。

すると、いろいろな思い出が蘇ります。懐かしい友人相手なら思い出話が次から次に出てきます。感情が大いに刺激されて気持ちが昂ぶってくるでしょう。

そういう経験は、すべて移動することで生まれます。年をとったら家の中で静かに暮らすのが安心、庭いじりや近所の散歩を楽しむだけで十分と考える人は多いと思いますが、逆です。

感情を刺激して気分を若返らせ、70年かけて手に入れた自由を喜べる高齢者こそ、「死ぬのも楽しみ」という境地を味わえるのだと私は思っています。