心の余白を手放さないで
仕事は単に稼ぐ手段ではありません。職場での何気ない雑談や、目の前のタスクに没頭する時間は、あなたにとっての「介護から解放される唯一の聖域」にもなります。外の世界で別の役割(=社員、友人、一人の人間)を持つことは、心の毒抜きです。
仕事があるからこそ、家に戻った時に親に優しくなれる。その心の余白を、どうか手放さないでください。
プロを頼ることに罪悪感を持つ必要もありません。むしろ、素人が慣れない手つきでイライラしながら介護をするより、技術と知識を持ったプロが適切なケアをする方が、親御さんにとってもはるかに快適で尊厳を守れる場合が多いのです。あなたがすべきなのは、排泄介助や入浴介助という「作業」を一人で背負うことではありません。
それはプロに任せ、あなたは親御さんと「思い出話をする」「一緒に美味しいものを食べる」という、家族にしかできない役割に専念すればいい。介護をサービスに外注することは、親子の良好な関係を守るための「賢い選択」なのです。
特に地域やご家庭によっては、「女性が世話をするものだ」という旧来の文化的な圧力を受けることもあるでしょう。けれど、実際の過酷な現場を知っている人間からすれば、その犠牲の上に成り立つ介護が、親子双方にとって幸せだとは到底思えないのです。
