プチ雛祭りを楽しんでいます
わたしが50歳を過ぎて始めたのが、雛人形を飾ること。子どもの頃は毎年親が飾っていましたが、親元を離れひとり暮らしを始めて以来、どこにあるかわからずにいました。だいぶ年をとって衰えた親に代わって、親の荷物を整理していたときに出てきて、そのときですでに、50年ものぐらいになっていたでしょう。それからは「やはり年に1度は飾ろう」と。
今の住まいはマンションで、雛人形に合う和室はないのですが、リビング兼ダイニングルームの出窓の前の、台のようになっているところに並べています。
飾ってみると、やはり心が和らぎます。ふだんと同じように食事をしたり家事をしたりの最中、ダイニングテーブルを拭きながらでも、出窓のほうにふと目をやると雛人形があって「桃の節句ももうすぐだな」と思います。雛人形を飾る前には、なかった豊かな心持ち。そんな小さな幸せを得ながら、しきたり通りに行わなくていいのが、ひとり時間の気楽さです。
年中行事にはいろいろ決まり事があります。雛人形なら、桃の節句を過ぎたらすぐにしまわないと嫁に行くのが遅れると、子どもの頃言われていました。でもわたしはもうその心配をする立場ではないし、1年に1度のことだしと、3月いっぱい飾ってしまっています。町の催しなどの雛祭りは、3月下旬まで続くところも多いようなので、それにならって。
しまうのは、気持ちの余裕のある日に。雛道具のひとつひとつを柔らかな布に包んで、丁寧に。わたしの家にあるのは三人官女も五人囃子もない、男雛・女雛一対の親王飾り。簡素なものですが、出して並べたりくるんで箱に収めたり。こういう時間を持てるのはいいものだと感じます。
