ただ生きる、それだけである
わたしは70歳を過ぎて、体が一気に弱り、75を過ぎて気力も失せている。
徹夜はまだ平気だが、徹夜明けが弱くなった。
昔はそのまま起きて、会社で1日仕事をしてもまったく平気だったが、いまはすこしでも眠りたい。
自転車にはまだ乗れるが、風が強いともう乗る気がしない。
歩きは、1万歩を超えるときつくなってきた。
数年前までは2万歩でも平気だったのである。
とても、元気で楽しく長生き、どころではない。日々、風に吹かれるすすきのように、穏やかに過ごせればいい。
ただ生きる、それだけである。
ところが世間が、やかましい。
老後の資金は大丈夫かね、ボーッとしてるとボケるよ、みんなは生活を楽しんでるぞ、あんたも残りの人生を楽しまなきゃ損だよ、と余計なことをいってくるのだ。
思わず、めんどくせ、と呟いてしまう。ほっといてくれ。
牛丼の会計のときに、「このカードはお持ちですか?」と訊かれる。コンビニで「レジ袋はどうします?」と訊かれる。
喫茶店では、みんなはなにやら、カードを3種類くらい見せている。
わたしはじっと待つ。
一々、めんどくさくなったなあ、と思う。