内容と別に感心したこと

読めば、著者の徳の高さにびびる。利己的な判断を戒め、謙虚さを持てと説き、刹那的な儲けも否定する。「情熱」という、ビジネスに似つかわしくない言葉を熱く語る一方、損益計算書の重要性を説くリアリストでもある。

「経営者が積極的であれば、積極的な価格になります」とか「働くことには、給料を貰う以上の何かがあるのです」などなど常にですます調の、高圧的でない平易な語り口はとても読みやすい。京セラが米国の企業を買収し成功した逸話は、渡米する大谷くんにもストレートな励みになったのではないか(そう思って推薦したのだろう)。

内容と別に感心したのは本の「型」だ。おそらく大谷君も手にしたであろう「新装版」はビニールカバーつきの文庫サイズ、しかも角マル処理という特殊な判型。持ち歩いて何度めくってもいいようになっているし、見開き2ページで一つの説話が必ず終わるように文字が組まれている。これを薬のように携行していたのか。だとしたら言葉もサプリメントのように強く効いたのだろう。

イラスト:死後くん

※本稿は、『有名人の愛読書、読んでみました。』(中央公論新社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
読書家・あいみょんが複数の取材でオススメした小説とは?「正直、後味が悪いんですが…」人間の暗部を描いた魅力に迫る
『あんぱん』今田美桜、『虎に翼』伊藤沙莉の愛読書を読んでみた。ドラマ化されたエンタメ小説、人気作家のデビュー作から見る2人の内面
大谷翔平選手も学んだ《成功哲学》とは? 「思い通りにいかないのが人生」――中村天風が教える【運命と心】の使い方

有名人の愛読書、読んでみました。』(著:ブルボン小林/中央公論新社)

大谷翔平、吉沢亮、キャサリン妃……。今を時めくスター50人が推している本を徹底調査!

愛読書から有名人に鋭く迫る、ボンコバ流ブックガイド。

『女性自身』好評連載「有名人(あのひと)が好きって言うから……」書籍化第二弾!