週三日、朝、大手ベーカリーカフェでパートをしている。店の営業は七時からで、それまでにパンを焼き上げて棚に並べなければいけない。ベイク担当のパートは五時に出勤して窯に冷凍パン生地を放り込む。私の仕事は朝の五時三十分に出勤して、サンドイッチを作ることだ。前日に焼いた食パンをスライスし、「ミックスサンド」「野菜サンド」「玉子サンド」「カツサンド」などを作って包装した。
パンの仕込みと焼成を終えると金沢さんは退勤していった。私は十時三十分まで働き、タイムカードを押して退勤した。
家には戻らず、父の入所している施設に行き、頼まれていた郵便物と書類、本の差し入れをした。父は鼻の下にチューブ型の酸素吸入器を着けていて、ナースコールを握りしめている。医師や看護師とは会話をするが、私のことは完全に無視だ。ちらとも見ようとしない。いつものことだ。
半月ほど前から父は肺炎で入院している。医師が言うには、たぶん、もう家には戻れないだろう。年齢が年齢なので急変に備えて覚悟をなさってください、とのこと。
父が様々な苦労をしてきたことを知っている。父自身には落ち度のない事故で障害を負い、妻を喪ったことは、運の悪さだけでは片付けられない悲劇だ。
では、運の悪い父を持った私は? 運の悪い祖父を持った麻子(あさこ)は? みな、ただ運が悪かっただけなのだろうか。
