週三日のベーカリーカフェはあくまでパートで本業ではない。私はもう長く地元のフリーペーパーの営業兼ライターをやっている。広告を取るために会社回りをし、クーポンのお願いをする。コラムは短いが一応署名記事だ。山際木綿子(ゆうこ)という名が印刷されているのを見ると、すこしだけ嬉しくなる。
 発行は隔週だが、Webでの更新は毎日だ。短い記事を書かなければならないが、一本の単価は千円。到底食べてはいけない。だから、パートとしてサンドイッチを作っているのだ。
 昼食を食べるために、一旦家に戻った。午後からはクリスマスイベントの取材の後で、新規出稿を開拓しなければならない。コラムは一週間分書きためてある。夜はすこしゆっくりできるだろう。 
 昼食の皿を片付けながら、窓の外を見ると雪が落ちてきた。積もるほどの雪ではないが、すぐに止む気配もない。
 ああ、雪だ。雪が落ちてくる。
 今夜は温かい物にしよう。一人鍋がいいだろうか。野菜はなにが残っていただろうか、と冷蔵庫を確かめようとしたとき宅配便が届いた。
 玄関から外に出てはっとする。空は高く澄んで秋の陽射しが眩しいほどだ。そう、今はまだ十一月だ。昼間は軽く二十度を超える。雪など降るはずがない。
 あれは見間違いだったのか? いや、はっきりと雪が落ちてきた。幻覚などではない。じゃあ一体あれはなに?
 当惑しながら荷物を受け取る。差出人を見てどきりとした。この人物からの連絡の理由は一つしかなかった。