父をきれいに残してあげたかった
<鴈治郎さんは、シネマ化に当たり映像の編集協力として制作に携わった>
舞台は、2009年4月の歌舞伎座のさよなら公演時のものです。その時、カメラが6台回っていました。編集されて1本のDVDになっていますが、6台のカメラの映像が全部残っていた。だから、映像をチョイスして編集し直す ことができました。私がとにかく心をくだいたのは、父がきれいに若く可愛らしく映るように編集することです。「ここだったら父の大写しのほうを使おうよ」とか言ったり……。
父をきれいに残してあげたかったのは、父が最後まで老け役をあまりやらず、白塗りのスターを通した人だからです。私の母(扇千景・元参院議長、2023年死去)も多分喜ぶでしょう。母は、世界一の父のファンだったと思います。父が亡くなってからは1回も劇場に足を運びませんでした。孫の壱太郎がどんなにいい役をやっていようと来ませんでした。父のことを思い出してしまうからですかね…。きれいな父の姿を残すことができて、母にも孝行できたのではないでしょうか。