「20年前だったら、3倍は売れましたね」

書店の利益は、とにかく不安定なんです。実際にオーナーになってみてわかりましたが、黒字続きの店であっても、雨や台風や酷暑などの不確定要素で単月赤字に転落することは普通にあります。

また、誰がどんな本を出すのかにも大いに左右されます。売れっ子作家の新作が固まって出る月もあれば、売れ筋らしい売れ筋がほとんど見当たらない月もある。書店側の努力ではどうにもできない要素に、売上が大きく左右されてしまうんです。

今村翔吾
今村翔吾「書店の利益は、とにかく不安定なんです」(写真提供:祥伝社)

佐賀之書店はオープン当日、同業者も驚嘆するほどの売上を叩き出しました。それでも、業界を古くから知る人には「20年前だったら、3倍は売れましたね」と言われました。平均を大きく上回る数字を出したところで、喜んでいる場合ではありません。

常に平均より上を出し続けることで、ようやく食っていけるかどうか。これが書店業界の現状です。これだと、今働いている従業員にお給料を払うことはできても、会社にお金は貯まっていかない。これでは、初期投資の回収や、新規に出店したいという時も、身動きが取れません。