「文学の継承」に向き合いたい

『嵐が丘』(エミリー・ブロンテ著)や『灯台へ』(ヴァージニア・ウルフ著)、『風と共に去りぬ』など数々の新訳を手掛ける文芸評論家で翻訳家の鴻巣友季子さんは、この文士劇でも翻訳を担当。

「(奴隷制を扱っている)この小説が出版されたアメリカでは、近年の黒人の人権運動の盛り上がりもあり、ハリウッド映画版は『解説』をつけて再配信されています。現代のポリティカル・コレクトネスに合わない部分があるためですが、そうした理由で何でもキャンセルするのではなく、批評的な目で古典に接しようという姿勢の表れかと思います」と作品をめぐる近年の背景事情を説明した上で、

「今のアメリカ、イギリスでは(古典作品の)現代の価値観に合わない差別表現や汚い言葉をリライトする動きがあります。しかし文学の継承とはそれでいいのでしょうか。このような問題と真摯に向き合いながら、『風と共に去りぬ』の上演に取り組むことにしました」と意義を語りました。

 

『風と共に去りぬ』の原作者、マーガレット・ミッチェル役としても出演するという鴻巣友季子さん