娘は今どこに?

「殺された? モーリーンが? あんなに優しい子が殺されるなんてあり得ない。いったいなぜ? 犯人は?」

メフディは答えることができなかった。犯人はまだ見つかっていないからだ。

「どのように殺されたのですか?」とジャックは尋ねた。まだ娘の死が実感できなかったので、耳をふさぎたくなるような答えが返ってくることも恐れなかった。

「絞殺されました」とメフディは答えた。ジャックの頭に一つの疑念が浮かんだ。

「娘はレイプされたのですか?」

しかし、メフディは答えを持っていなかった。

「娘は今どこに?」

ジャックはモーリーンの遺体と対面したかった。

メフディは「遺体はご家族に引き渡されますが、ご覧にならないほうがよいでしょう。すでに腐敗していますから」とだけ告げた。

娘は死んだ、殺された、しかも死からすでにかなりの時間が経っている、と立て続けに知らされるなんてあんまりだ。

メフディによると、モーリーンは10日前に亡くなった。それ以前に娘に電話をかけるべきだった、しつこいくらいに電話すべきだった、連絡が取れるまで粘るべきだった、とジャックは悔やんだ。

「いつ、娘の顔を見ることができますか?」

「娘さんの棺をご覧になる、という意味ですか?」とメフディは聞き返した。遺体が腐敗していることを告げたのだが、父親は理解しているだろうか、と危ぶんだからだ。

「今日の午後です。トゥルネーから到着します」
「トゥルネー? でも、娘はフランスにいたのですよ。ベルギー国内ではなく」
「私が知っているのは、ご遺体を納めた棺がトゥルネーから到着する、ということだけです。それ以上の事情は存じません。私がご遺体を発見したわけではないので」