この先の目標は、父の唯一の弟子である私が名跡を継ぐことです。実は、真打に昇進させていただく際に「同時に、九代目一龍斎貞山を襲名したらどうか」と多くの方からご意見を頂戴したのですが、当時は決心がつきませんでした。
師匠が得意としていた演目もきちんと継承できていませんでしたし、まだまだ勉強したいことがたくさんあったので。一龍斎一門のお家芸である『赤穂義士伝』や、父の十八番であった演目を勉強し、ゆくゆくは貞山の名を継がせていただけたら……と思っております。
まだまだ未熟者ではありますが、この1月で40歳になりました。人生経験は、いいことも悪いこともすべてが芸の肥やし。若い頃より今のほうが、高座に上がるのが楽しくて仕方ありません。
講談は史実に基づいた物語を読み上げるだけでなく、新作もあります。さらに「引き事」といって、物語の内容に関連した豆知識やエピソードを、お客様の反応を見ながら即興で語ることも。私もピアノを演奏しながら申し上げる講談にチャレンジしたり、奮闘中の育児について話したりしています。無駄な経験は何一つないのです。
悪人が跋扈(ばっこ)する話もありますが、基本的に講談は人間のいいところを捉えて、「こんな素晴らしい志があったから、めでたしめでたしになったんだ」という読み物が多いので、心があたたまることうけあい!
ご興味のある方は、ぜひ高座に足を運んでいただけたら嬉しいです。一度ご来場くださった方がまた聴きに来たいと思ってくださるように、これからも精進を重ねてまいります。
