ミズナラの木に

お銀は土間に額を擦りつけ、泣きながら詫びた。

だが、掟は冷酷だった。村人の中にはお銀に同情する者もいたが、飢饉の恐怖は皆の心を固くしていた。お銀は長い髪の毛を川の側のミズナラの木に縄のようにかけられて、吊るされた。体は木に縛られたままで、足先は半分しか地面についていなかった。

種籾を盗んだものはこうなるという見せしめの意味合いもあったのだろう。

お銀は許しを請い、声の限りに叫んだ。その叫び声が朝も夕も聞こえたが、誰も近づくことを許されなかった。

そして、漆黒の闇に黒髪でぶら下がった状態で、お銀はこと切れた。

お銀の遺体は、そのまま枝に吊り下げられたまま、幾日も冷たい風に吹かれ続けた。

やがて腐った頭皮から髪の毛がずるりと抜け落ちて、遺体は川に落ちて流されていった。

ミズナラの枝には黒髪が引っかかったままで、夜に近くを通り過ぎた人には、お銀のすすり泣き、許しを請う声が聞こえた……。