新世代の映画運動「ドグマ95」

一度海外に目を向ければ、Windows95がリリースされたのと同じ95年の3月には、デンマークでラース・フォン・トリアーら若手映画人たちによる新世代の映画運動「ドグマ95」が始動している。

ドグマ95とは、「貞潔の誓い」と呼ばれる映画製作をめぐる10の規律のもとに禁欲的で機動的なスタイルを掲げて推し進められた一連の映画運動である。

(写真提供:Photo AC)

そして、そのドグマのマニフェストのなかで、「今日、ぼくらは、メディアの最終的民主化を意味する、技術的なものの嵐のもとでの河の氾濫のなかにいる。人類は、はじめて誰もが映画を作るチャンスを得た」(「宣言 ドグマ95」)と触れられている通り、彼らの作品作りの背景にも、やはりデジタル撮影技術による「映像制作・流通の世俗化」が深く関わっていた。

事実、ドグマ95は、グーグル創業の年に発表された、その記念すべき第一作となるトマス・ヴィンターベア監督『セレブレーション』(1998年)で、予算的都合から、ソニーのハンディカムPC3を用いた、当時としては先駆的なデジタル撮影を試みている(本作の撮影を担当し、世界の映画業界から激しい毀誉褒貶(きよほうへん)を浴びたアンソニー・ドッド・マントルがデジタル撮影作品初のアカデミー賞撮影賞を獲得するのは、この11年後のことだ)。