日本映画におけるポストシネマ化の年

さらにハリウッドに目を転じてみれば、95年には数々の重要な作品が生まれている。そのひとつが、何といっても、スティーブ・ジョブズが80年代にルーカスフィルムのコンピュータ部門を買収する形で設立した「ピクサー」が手掛けた、世界最初の全編フル3DCGによる長編アニメーション映画『トイ・ストーリー』だろう。

この作品の記録的大ヒットによって、ピクサーとそのトップだったジョン・ラセターは、以降、3DCGアニメーションの新時代を切り拓いていく。

つまり、インターネットが社会に登場し、デジタル世代の旗手としての庵野秀明と岩井俊二が登場した1995年を、日本映画におけるポストシネマ化の年と位置づけることができるだろう。デジタル化によってさまざまなヒエラルキーがフラットに均される構造や表現を持つ現代映画が筆者のいうポストシネマである。

1990年代以降の新たなメディア環境(デジタル化とネット化)のなかで、庵野と岩井が従来の日本映画に変革(ポストシネマ化)をもたらし、2016年の新海誠の『君の名は。』がそれをメジャーにした、と考えると状況がクリアに整理できると思うのだ。

※本稿は、『『君の名は。』は日本映画に何をもたらしたのか 庵野秀明・岩井俊二・新海誠から読み解く現代日本映画史』(星海社)の一部を再編集したものです。

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『君の名は。』は日本映画に何をもたらしたのか 庵野秀明・岩井俊二・新海誠から読み解く現代日本映画史』(著:渡邉大輔/星海社)

大ヒット日本映画が続々登場する現在、日本映画史に新たな見方が求められている!

デジタル化やメディアミックス以降に到来した新しい映画文化の姿、その想像力へと至る日本映画の系譜を描き出します。