純米吟醸酒「獺祭」を造り上げた“懲りない親父”こと、桜井博志会長(撮影:本社 武田裕介)
西日本豪雨、コロナ禍、ニューヨーク蔵の建設費膨張……相次ぐ試練を乗り越えながら、さらなる挑戦を続ける酒造メーカー「獺祭」。その原動力に漫画家・弘兼憲史氏が迫った『漫画 懲りない親父、世界へ挑む 獺祭 進化する伝統』が発売されました。“山口の山奥の小さな酒蔵”を受け継ぎ、純米吟醸酒「獺祭」を造り上げた“懲りない親父”こと、桜井博志会長にお話を伺いました。(構成:高梨聖昭 撮影:本社 武田裕介)

前編より続く

本物志向の女性たちがハマってくれた

――「獺祭」は女性ファンが多いことでも知られています。何か女性向けの戦略というものを意識されたのでしょうか?

「女性目線の商品開発」ってよくありますけど、あれって女性を馬鹿にしてますよね(笑)。代表例として、“女性仕様車”ってありましたけど、ピンクのボディーにピンクのインテリア…ほとんど売れませんでしたよね。女性だって「スカイラインGTR」のような本格的な車を好んで乗る人もいます。女性向けだから「甘けりゃいいだろう」「色を付けりゃいいだろう」なんて男が考えたってダメで、女性にそんなことしたって、相手にしてくれませんよ。結局はいいもの、ちゃんとしたものを作るべきなんです。「獺祭」は“美味しい酒を造る”ことだけをやってきましたから、本物志向の女性たちがハマってくれたのだと思います。

「獺祭」が東京でも流通し始めた頃、赤坂一ツ木通り周辺の居酒屋を、調査のために一晩で何軒もハシゴしていました。「バー・ホッピング」ならぬ「居酒屋ホッピング」です。

その一軒一軒で観察してみると、日本酒を飲んでるのは女性が多くて、オッサンは主にビールと焼酎。「こりゃダメだわ」と思いましたね(笑)。それに、オッサンは保守的なので、新しいものが出たらすぐに文句を言って足を引っ張る。だから余計に、「そっちを向いてちゃダメだな」と思ったのは事実です。(笑)

『懲りない親父、世界へ挑む-獺祭 進化する伝統』(弘兼 憲史 (著), ヒロカネプロダクション (著)/中央公論新社)