鳥の雌は面食い

ところで「小鳥のさえずり」とは言いますが「おおとりのさえずり」とは言いません。さえずるのは小鳥。皆、スズメ目に属するものです。スズメ目は大きなグループです。鳥は全部で約1万種いますが、その6割がスズメ目。ですから、ふだん目にする「小鳥」はほとんどがこれです。スズメ、ウグイス、ヒバリ、ホオジロ、カナリアなど、きれいな声で鳴くものたちです。ですが、ガーガー、ギャーギャー言うカラスやオナガもスズメ目に入ります。

小鳥の歌は種ごとに違います。ウグイスは「法法華経」、「東京特許許可局」はホトトギス。

『すごい生きもの春夏秋冬』(著:本川達雄/中央公論新社)

歌のレパートリーは、鳥ごとに1曲だけと決まっているわけではありません。たとえばオオルリ。青い美しい鳥ですが、鳴き声も美しく、「ヒー・ツーチン・ツーチン・ツチ」とうたったり、「ヒーヒヒヒヒヒヒ」とやったりします。シジュウカラだと「ツピーツピー」や「ジュクジュクジュク」。

こんな実験をした人がいます。シジュウカラの縄張りの中にスピーカーを設置して、他の雄のシジュウカラの歌を流す。すると縄張りの主は飛んできて、スピーカーの周りをばたばた飛び回ります。次に、その縄張りの主を捕らえて軟禁してしまう。するとその縄張りはすぐに他所から来た雄に乗っ取られるのですが、スピーカーから雄の歌を流しておくと乗っ取られません。こんなふうに歌は他の雄に対して絶大な効果をもちます。

じゃあ雌に対しての効果はどうかというと、歌を流しても雌がスピーカーのところまで来ることはありません。でも近くまでは来ます。歌を聞いた雌は、雄の姿の見えるところまでは近寄ってくる。でも、さらに近づくかどうかは目で見て判断しているようです。鳥の雌は面食いなんですね。鳥は一般に雄が派手できれいに着飾っています。