ウグイスは春告鳥
七十二候(しちじゅうにこう)の立春の節気の第一候が「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」、第二候が「黄鶯けんかん(うぐいすなく)」。「けんかん(「けん」は目へんに見、「かん」は目へんに完)」は鳴き声が良いという意味。旧暦の2月中旬がこの候だから、新暦なら春3月に当たる。七十二候とは中国由来の季節を表すやり方で1年を二十四節気に分け、それをさらに三つに分けて、計72の期間(候)にする。
我が家は多摩の丘陵地にあり、向かいはかなり広い竹藪です。そこでウグイスがさかんに鳴く。ウグイスは竹藪に好んで巣をかけるんですね。ウグイスは春告鳥とも言います。
うぐひすの谷よりいづる声なくは春くることを誰か知らまし 大江千里
ホーホケキョはウグイスのさえずり、歌ですね。うたっているのは雄です。ホーホケキョは「どうか僕のところに来てちょうだい」という雌に対するラブコール。それに加えて「ここは俺の縄張りだから、他の雄は来るな!」という宣言でもあります。さえずる時、ウグイスは縄張りの中央にある高い木や突き出た岩の上にとまり、特別な姿勢をとります。腰を落として胸を張る。そして高らかにさえずる。さえずるのは繁殖期間だけです。
ウグイスは春夏と山に住んで子育てをし、寒くなると低地や暖かい地方に移ります。そしてまた春になると山に戻ってくるのですが、雄は、雌よりも数日早く戻ってきて、自分の縄張りを設定します。縄張りに適した場所は限られていますから、当然、雄同士の間で喧嘩がおきます。喧嘩と言っても儀式化されたものです。翼を広げ、毛を逆立てて威嚇したり、立ち上がって蹴り合ったりします。そうするうちに、どちらかが気合い負けして引き下がる。勝った方が縄張りを獲得します。ウグイスは、地面に笹が生えている林が好きで、雄はそこに直径200メートルほどの縄張りを持ちます。そして少し遅れて山へと戻ってきた雌を迎え入れます。
ほとんどの小鳥は一夫一婦制ですが、ウグイスは一夫多妻。亭主関白なんですね。巣作りから子育てまですべてを雌まかせにして、繁殖期が終わる9月の末まで雄はさえずり続け、さらなる雌を得ようとします。
雌の方は大変です。一人で巣を作り、完成したら交尾し、1日1個ずつ、全部で5個の卵を産みます。約2週間、雌一人で卵を抱き続け、ヒナがかえったら、また約2週間、巣立ちするまで雌一人で餌を取ってきてヒナに与え、引き続きさらに3週間ほど、雌はヒナに餌を与え面倒をみ続けます。そこまで約2ヶ月、雌だけで子育てをする。それが済むと雌は二度目の繁殖を行います。
ウグイスの巣はヘビなどに襲われる危険がきわめて高く、ある調査では7割の巣がやられたそうです。そうなったら、そんな危険な場所はダメだというので、雌は別の雄の縄張りに移っていき、そちらでカップルになります。安全な縄張りを確保できない雄などさっさと見捨ててしまうんですね。