ホーホケキョ――これは日本の鳥語、ではハワイ語は?

ただし種によっては、歌の上手な雄がもてることもあるようです。ヨシキリは歌のレパートリーが非常に多いのですが、ヨーロッパのスゲヨシキリでは、持ち歌の多い雄ほどすぐにカップルになれるそうです。

小鳥は最初から歌がうまいわけではありません。ウグイスも最初は「ホ、ホケッ」とか「ケッ、キョ」とか、まことにヘタクソ。練習してだんだんうまくなっていきます。練習段階では、父親や、他のおとなの歌を聞く必要があります。ヒナを隔離して育てると、まともな歌をうたえません。でも、スピーカーから正常な歌を聞かせてやれば大丈夫です。

(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)

こんな実験をした人がいます。キンカチョウのヒナをジュウシマツのつがいにあずける。すると、ジュウシマツは自分の子のように世話をします。そうして育ったキンカチョウは、育ての親であるジュウシマツの歌をうたうようになりました。

ただしこれは育ての親の歌しか聞けない特殊な場合であって、若鳥に自分の種の歌と他の種の歌と、両方を聞かせると、自分の種の歌を優先的に覚えます。

これらの結果から考えますとね、小鳥は生まれながらに自分の属する種のモデルソングを持っている。けれどもこのモデルは不完全で、仲間の歌を聞いて、モデルを手直ししていく。歌の先生について習う必要があるんですね。ただし学校の音楽の授業のように、先生のあとについてうたいながら覚えていくわけではなく、ただだまって先生の歌を聞いているだけ。そして聞いてから何週間か後に、やおらうたい始めます。うたい始めはへたくそなのですが、自分の歌を耳で聞いて、それと覚えたモデルとを比べ、じょじょに正しいものに修正していきます。

こんなふうに、小鳥はその場その場で先輩から歌を覚えて育つのですから、先生がなまった歌をうたうと、それが伝わっていき、歌に方言ができてきます。たとえば東北地方のウグイスは「ホーホケンキョン」と「ン」が入るようですね。

ハワイのウグイスは「ホーホピッ」と、そっけない歌をうたいます。このウグイスは今から80年程前に日本からハワイに持ち込まれ、それが野生化したものです。常夏の島ではウグイスの競争がゆるやかで、複雑な歌などうたわなくても縄張りが持てるから、歌が単純化したと考えられています。