花子 お尻もね、感染症にならんようにって、いつも申し訳ないぐらいきれいに拭いてくれるんです。「ごめんな」って謝ると、「これは俺の仕事やから」って。ほんまに言うんですよ。信じられへんでしょ。
大助 本心ですからね。僕たちは今、老々介護のど真ん中にいますけど、これも夫婦そろって年を重ねてきたおかげやし。たまたま、僕が嫁はんの面倒をみてるだけで、逆でも全然おかしくない。まあ、そうなったらあなたは、僕の頭をコーンと足で蹴っていくやろうけど。(笑)
花子 うん、そやな。(笑)
大助 「そやな」って! こんな僕たちを見て世間の人は、「旦那さんが奥さんの介護をしているんですか! すごいですね」なんて褒めてくれますけど、一人で全部、背負ってるわけやないんで。
たとえば排尿のためのバルーンカテーテルの挿入は僕がやるけれども、訪問看護師さんが来たら、「お風呂、よろしく!」ってお任せして、別のことやってるし。
理学療法士さんがリハビリに来られても、そんな調子。看護師さんに「大助さんは、バランスのとり方が上手ですね」と褒められます。
花子 とはいえ、ごはんの支度や後片付け、部屋の掃除なんかも大助くん。庭の手入れもしてくれて。
大助 梅の木にうぐいすが来たりとか、柿の木に小鳥が止まったりとか……そんな景色を大事にしたいんですよ。
花子 私がほぼ一日中、ベッドにいるからね。
大助 そう。編み物をしたり、テレビで好きな野球を楽しんだりはしてますけど、変化が少ないでしょ。せめて庭を見て季節を感じてほしいと思って。そうや、もう少し元気になったら、庭のテーブルで一緒にコーヒーでも飲みたいな。