「嫁はんは、僕の自慢であり、誇りなんです」(大助さん)

大助 偉そうに聞こえるかもしれませんけど、ほんまにそう思ってるんです。老いや病気で弱った人たちは、周囲の人間に「慈悲」や「徳」の大切さを、身をもって教えてくれてるんちゃうかな。そう考えたら、いろんなことの見え方が変わってくるでしょ。

ヨボヨボのお年寄りは、みじめな役立たずやない。大事なことを教えてくれる尊い存在なんやと。現に僕は、嫁はんの介護を通して、人生で一番大事なことを学んでますし。

花子 なんて言いながら、ちょくちょくケンカしてますけどね。

大助 そやねん。まだまだ人間ができてへん。しばらくして冷静になったら「アホやなあ、俺は」と反省しきり。その繰り返しですわ。

花子 私も文句言いますしね。この人が介助するときに当たり所が悪いとすぐ、「痛いねーん」「痛い言うてもな、こっち向いて」「痛いから痛い言うてんねん!」って。

それでケンカの後、な~んか不気味な気配を感じると思って寝返りを打つと、枕元、目の前に大助くんの大きな顔があるんです。びっくりしますよ。次の瞬間、「さっきは、悪かったな」って。心臓に悪いわ。

大助 そんな言い方、ないんちゃう? (笑)

花子 ほんまのことやもん(笑)。それはそうと大助くん、最近、私の口から後ろ向きのことばを聞いたことある?

大助 ああ、そう言われてみればないかもしれん。

花子 そうやろ? 私、少しずつ考え方が変わってきてん。宮川大助・花子として二人で歩んできた漫才の轍(わだち)を思えば、病気なんて全然大したことないと、今では思うようになりました。

大助 コンビ結成から47年。早いもんやねえ。